2017年01月04日

アニメ映画隆盛 新海誠の次に「来る」気鋭の監督たちを紹介

日本のアニメ映画はテレビシリーズの劇場版という性格が強いため、作品やキャラクターはクローズアップされるものの、監督に注目が集まる機会は一部に限られていた。ところが、2016年に『君の名は。』(新海誠監督)、『聲の形』(山田尚子監督)、『この世界の片隅に』(片渕須直監督)と、それぞれの作家性が色濃い作品の大ヒットによって、様子が変わりつつある。
 監督の名前で作品選びする際にオススメの監督、これから楽しみな監督について、アニメ評論家の藤津亮太さんにきいた。
「細田守監督については、もう別格だと思っています。まだ発表されていませんが、いつものペースなら2018年が新作発表の時期。どんな作品であっても、細田監督ならオススメします」
 これまで公開されてきた細田作品を振り返ると、『時をかける少女』(2006年)、『サマーウォーズ』(2009年)、『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)、『バケモノの子』(2015年)と、およそ3年に一作のペースで公開されている。前作から2年が経とうとしている2017年には少なくとも、なんらかの動きがありそうだ。
 出自こそ東映アニメーションでテレビ作品に携わってきた細田監督だが、現在ではオリジナル作品の制作にこだわっている。見るならオリジナル作品を、というこだわりもいいが、日本のアニメーション産業はテレビ向け作品を中心に発達してきたため、公開されるアニメ映画のうち、オリジナル作品は数えるほどしかない。
 とはいえ、テレビシリーズの人気を引き継ぐアニメ映画には、将来有望な若手が監督として携わることが多く、見逃せない。そのなかで藤津さんが気になる人として、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(2月8日公開)の伊藤智彦監督と、ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(3月4日公開)の高橋敦史監督の名前をあげた。
「伊藤監督は最近ではテレビアニメ『僕だけがいない街』(2016年)などのヒットメイカーですが、映画監督としては今作が初めてです。ライトノベル『ソードアート・オンライン』原作のテレビシリーズも監督していましたが、キャラクターの魅力と、ドラマをじっくりみせることをうまく両立させていました。それが劇場版になってスケールが大きくなるなかで、どんなバランスの作品になるのか楽しみにしています。




 高橋監督は、『青の祓魔師―劇場版―』(2012年)に続いて今回が劇場映画監督としては2作目になります。前作では、凝った背景美術を使って、、”本当にその世界が実在しそうな雰囲気”を大きなスクリーンで実現させていました。ドラえもんを描くにあたって、そういうスタイルをどれぐらい引き継ぐのか。。また、今回のドラえもん映画は過去の映画のリメイクではなくオリジナル作品です。新しいドラえもんの魅力を引き出してくれるのではと期待しています」(藤津さん)
 もちろん、2016年の大ヒットを生み出した3人の監督の次回作からも目が離せない。
「片渕監督は前作から7年と時間が空いてしまいましたが、アニメの場合、おおよそ2〜3年に一作ぐらいのペースで劇場作品を発表する監督が多いです。『この世界に〜』の大ヒットで、ベテランの片渕監督の次回作は、もっと短い間隔で見られるようになるのではと期待しています。
 新海監督は、今後もおそらく思春期の人へ向けた作品を生み出していくのではないでしょうか。人は誰でも思春期だったころがあるので、過去の体験をもとに楽しめる作品だったのが『君の名は。』でした。これまでは、男性の内向きのロマンチシズムが強く描写されていたので、新海作品は人によって大きく好みが分かれました。『君の名は。』ではその部分が薄らいでいたので、幅広い支持を得たと思います。今後、どのような方向へ変化していくのかが気になりますね。

 山田監督は、アニメーション業界でのキャリアが十年と少しくらいなのですが『映画けいおん!』(2011年)、『たまこラブストーリー』(2014年)、そして『聲の形』と3作品も監督しています。作品の特徴として、描く女の子たちが、アニメのキャラクターとしての人気も出るんだけれども、リアリティがあって嘘もついていない。いつも女性中心のチームで制作にあたる影響でしょう。次に何をするか、目が離せない監督のひとりです」(藤津さん)
 そして、監督ではないが、次にどんな作品を生み出すのか目を離せない人がいると藤津さんは続けた。
「川村元気プロデューサーです。川村さんはいま、アニメ映画にとても注目しています。そして『君の名は。』を大ヒットさせ、今年の夏には岩井俊二監督のドラマを原作としたアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を公開すると発表しました。
 川村さんが次、どんな監督と仕事をするのかは気になるところです。おそらくテレビシリーズとは連動しない、オリジナル企画の映画になると思うので、監督の作家性が色濃くでた面白い作品が見られると思います」(藤津さん)
 






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posted by 得笠野 哲太 at 06:06| アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする