2016年12月31日

元ホークス・ドラ1巽真悟氏  30歳で会社員ルーキー 戦力外に周囲の支え、涙こらえた思い出

福岡ソフトバンクは来季、5球団競合のドラフト1位・田中正義投手(22)=創価大=ら4人のルーキーを迎える。一方で退団する選手もいる。戦力外通告を受けた2009年ドラフト1位入団の投手、巽真悟氏(29)は12球団合同トライアウトに参加した上で、今季限りでの現役引退を決断した。戦力外を機に周囲の支えを痛感。来年1月に人材派遣業のエイジェック(東京・新宿)入社予定で「誰かのために働きたい」と志す。

ファンサービスでホークス復帰を宣言した?ムネリン
 後輩投手の昇格を横目に夏が過ぎ、プロ8年目を未昇格で終えた。覚悟していた戦力外。ドラフト翌日、巽氏は球団事務所へ呼び出しの電話を受けた。「悲観的でもなかったんです。来たか、と」。今季後半の投球に手応えはあった。実際、12球団合同トライアウトで参加選手最速の148キロ。もっとも1週間、10日…待てども連絡はない。

 プロ2年目に開幕ローテ入り。近年は中継ぎに活路を見いだし、もがいていた。周囲の声の大半は「どこに行っても野球を続けて」で「野球から離れて社会に出るのもいい」と言う人は少数だった。ソフトバンクから示されたのは関連会社での販売や、球団職員の道。そんな折、師事したメンタルトレーナーから企業を紹介される。来年ルートインBCリーグに参入する栃木の親会社でもあった。




 「一から勉強したらいい」と言ってもらった。何より「誰かの役に立ちたいと思った」。アマ時代の指導者に、独立リーグや社会人野球の道を探ってくれた人がいた。ヤクルト入りとする一部報道を受け、知人を通じ、ヤクルトの編成に確認した人もいた。「自分のために動いてくれる人のありがたみ。クビになって、やっと分かったんです」

 プロ一番の思い出が重なった。昨季のプロ初勝利ではなく数年前。2軍降格が決まり、各コーチにあいさつして回ったときだ。鳥越内野守備走塁コーチから、ふと「おまえのいいところ、一個だけ教えてやる」と言われた。「選手サロンから出るとき、中に向かってあいさつしてるのは、おまえぐらいや」。涙をこらえた。「そんなとこまで見てもらってるんや…」。気づかなかった視線だった。
■「モデルケースに」
 業務は総合職。面接から新規事業の開拓まで多岐にわたる。オフィスは丸の内ながら、ロッテ本拠地ZOZOマリンのほか、プロのサッカー、バスケットボールの試合会場を訪れることもある。同社のプロ野球選手セカンドキャリア支援、第1号という。「僕がモデルケースになるから責任重大なんです」。年明け早々、福岡市内の自宅から東京へ。「関西から福岡に来たときより不安です」と苦笑した。30歳の大卒新人が行く。




 ▼通算成績 24試合、1勝4敗0セーブ、防御率7・50
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posted by 得笠野 哲太 at 09:32| 2016 アスリート | 更新情報をチェックする