2016年11月11日

トランプが勝って、ハーバード大学学長が学生を前にして大泣きしながら演説

11月8日夜―。ハーバードケネディスクールの天井に準備された赤・青・白の無数の風船が落ちることはなかった。ヒラリー・クリントン氏の勝利が宣言された瞬間、落下するはずの風船は、網に囲われ、重く天井からぶら下がったままとなった。

ハーバードケネディスクールの同級生の大半は、民主党支持者だ。教授陣も民主党支持者が多く、歴代政権で活躍した人も多い。

8日の夜、初の女性大統領誕生に希望を抱いた学生たちは、大学で開かれた選挙結果開票パーティーに集まった。私も「このタイミングで行政大学院に留学できてラッキーだな」とワクワクした気持ちで、結果を友人たちと待った。

華やかな装飾と期待で溢れた大学だったが、トランプ氏がオハイオ州で勝利をしてから、少しずつ静かになっていく。結局、深夜になっても結果が出ず、学校は閉まった。


そして翌日、学校に行くと、そこは別世界のようだった。
エルメンドルフ学長から学生にメールが届く
私自身、「メキシコの不法移民はレイプ犯」「イスラム教徒の入国を禁止すべき」など、異常ともいえる差別発言を繰り返し、アメリカの理念であるはずの「平等」や「多様性」を真っ向から否定する人が大統領になったことが、信じられなかった。同級生も皆一様に、動揺している。





そんな中、エルメンドルフ学長から全学生にメールが届いた。

「多くの人にとって、長く苦しい夜でした。午後1時に全校の集まりを開催するので、どうぞ来てください」

午後1時。全校生徒を前に、学長は壇上に上がった。

彼もショックを隠し切れない様子だった。ハーバードケネディスクールは、差別と戦い、知識を探求(knowledge and inquiry)する学校だと強調したうえで、トランプ氏はそれらの理念を共感しない人であると話した。そして涙ながらに、行政や公共政策を学ぶ学生として、この選挙結果を受け止め、世のため人のために働くことがこれまで以上に重要であると訴えた。


ハーバードケネディスクールでは選挙の結果に係わらず民主主義による選挙によって選ばれた大統領を祝福するために、風船落下をおこなうことが伝統だと話した学長は、天井に溜まったままの風船を落下させた。


むせび泣く人の声、そしてアメイジング・グレースを歌う女性の声が響く中、静かに落下していく風船をみんな見守った。
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posted by 得笠野 哲太 at 17:27| アメリカ大統領選 | 更新情報をチェックする