2016年11月01日

韓国 朴槿恵大統領の2大スキャンダルを暴いた孫石熙(ソン・ソッキ)氏とは

韓国・朴槿恵大統領が「民間人」である崔順実に機密情報を漏らした事件が大騒動になっている。
大統領の謝罪後も事態は沈静化するどころか、より大きな怒りと喧騒を巻き起こしている。メディアは連日「崔順実ゲート」の報道に多くの時間を割き、新たな事実や伏せられていた過去が世間の耳目に晒される。ソウル市では2万人とも言われる群集が大統領の下野を叫び、渦中の崔順実も「避難先」のドイツから帰国せざるを得なくなり、検察は大統領府へと捜査開始している。


韓国の歴史の中でも類を見ない今回のスキャンダル。
 一体、誰がその事実を白日のもとに引きずり出したのか。それは、韓国のケーブルテレビ局のJCTBの番組「ニュースルーム」のキャスターでもあり、JTBCの社長でもある孫石熙(ソン・ソッキ)氏である。


本稿では、日本ではあまり知られることのない、この孫石熙氏について取り上げる。 孫氏は1956年生まれ、60歳。韓国では知らない人がいない、超がつくほど有名なニュースキャスターである。韓国の雑誌「時事ジャーナル」では、「一番影響力のある言論人」の調査で2005年以降、12年連続で1位を獲得している。
彼が国民らの注目を集めたのは、韓国の公営放送局であるMBCのキャスター時代。「視線集中」という番組であった。常に「反権力」の立場で、世の中の不正や腐敗を鋭く切り正した。韓国の良識と言われた人であり、誠実な報道姿勢が多くの国民の支持を得た。





しかし、そんな彼が唐突に「裏切り者」となる。 2013年、人気番組であったMBC「視線集中」を降板し、降板のみならずMBCまでも退社。そして彼は、現職でもあるJTBC社長に電撃就任したのだ。そんな彼に世の中の批判が集中した。 彼のそばにいた人たちまでもが孫石熙の真意を知ることもなく、ただ落胆し、そして非難した。「一番影響力のある言論人」の称号も、誰もが地に落ちたと思い疑わなかった。


日本でいうところでは、池上彰氏がテレビ東京の選挙特番キャスターを降板し、日テレ子会社の社長に就任したようなものである。ただ孫氏はフリーの池上氏とは違い、MBC専属として国民的人気を誇っていたため、視聴者の嘆息ぶりは計り知れないものであった。それでもなお孫石熙は言い訳もせず、自身の行動についての説明もしなかった。


しかしその頃、世の中は徐々に気付き始めた。彼の報道姿勢は何一つ変わっていなかったことを……。
大統領のスキャンダルで、一夜にして英雄に返り咲く その事が顕著になったのが、2014年に起きた「セウォル号」事件である。


4月16日、韓国仁川から済州島へ向かっていた大型旅客船「セウォル号」が転覆沈没し、修学旅行中だった学生らを含む295人が死亡、9名が行方不明となっている韓国史上最悪の大惨事である。孫氏率いるJTBCは、事件をどのメディアよりも詳しく報じた。この報道において、JTBCの特別取材チームは「韓国記者賞」を受賞するなど、報道部門において韓国国民から絶対の信頼を得ることになる。


その結果、2013年には「裏切り者」となった孫石熙は再び、「一番影響力のある言論人」として評価されることとなった。 そして、2016年10月。孫は、韓国全土を震撼させる。
知っての通り、韓国大統領のセンセーショナルなスキャンダルの独占報道だ。韓国の暗部を抉り、国民に報じ、解体していく。JTBCの「ニュースルーム」は過去最高の視聴率を叩き出し、国民だけではなく、大手メディアですら、JTBCの次の一声に注目をしている。そして孫石熙は、一夜にして「英雄」となった。
今回のスキャンダル報道の翌日、孫石熙社長がJTBCの全職員に宛てた次のようなメールが、韓国で注目されている。

◆「崔順実ゲート」と「セウォル号事件」の関連
“昨日以降、JTBCは再び一番注目を浴びる放送局となりました。番組に対する関心は、そのまま社員たちへの関心に繋がります。謙遜して自重して、また、謙遜して自重しましょう。出会うすべての人に対しそうでなければいけません。取材現場はもちろん、道行くすべての人に対しても……
これは「一番信頼されるニュースの報道機関」に選ばれた時から言っておきたいことでした。私自身がしっかり実践出来ているのかは分かりませんが、JTBCマンであるならば、これからは当然そうであるべきです。

世間の注目が集まるなか、何かしら中傷を受けるようなことがあれば、それがとてつもなく大きな反発となり、我々に覆いかぶさってくるでしょう。まして今週から独占で報道している内容は、人々の心をスカッとさせることもあるでしょうが、同時に深い自戒感を与えることもある内容であります。私たちは本意でなくとも、人々に、治癒しがたい喪失感を与えてもいるのです。だからこそ、我々の態度は何にまして大事なのです。



謙遜して自重しても、我々がJTBCマンであるという評価が下がることはありません。
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posted by 得笠野 哲太 at 16:05| 韓国スキャンダル | 更新情報をチェックする