2016年10月29日

電通過労自殺の残業抑制策はアリバイ作り このままだと個人が勝手に残業した言われかねない

10月25日、過労死が問題となっている電通が、残業代抑制のために全事業所の消灯を22時とすると発表した。世間では、労働時間抑制に向けた動きとして評価されている。

しかし、普通のサラリーマンなら疑問に思う筈だ。いままで残業しなくては追いつかなかった業務はどうするの?と。

そもそも自分たちも、猛烈に残業していた上司が、部下に対して「残業はするな」「定時に仕事が終わらないのは、仕事が遅いから」という。どの口が言うのか?

また、人事もその部分を十分承知をした上で巧妙に残業を減らすトラップを仕掛けてくる。「残業の抑制対策はしています。会社は指示しているのに勝手に個人が残業、長時間労働をしてるんです。強制はしてません」と言いかねない。

こうした会社による建前の「残業抑制策」は、必ずしも労働時間を抑制することにつながっていない。むしろ、逆にサービス残業を生み出してしまう例が多くみられるのが実態だ。




企業による残業抑制策は、主に以下の3つの類型に分けられる。
一つ目は、強制退社型。ノー残業デーを設けて、定時退社を強制したり、毎日の労働時間の制限を設け、従業員を強制的に退社させるやり方だ。

二つ目は、上限設定型。文字通り残業時間の上限を設け、それ以上の残業は認めない、というやり方だ。残業時間の上限を定める労使協定(36協定)で残業時間を低めに抑え、それ以上は残業させない。

三つ目は、残業申請型。残業時間をいちいち従業員に申請させ、企業の側が残業として認める場合だけを残業として認めるやり方。

いずれも目的は長時間労働抑制だ。しかし、どの制度の場合にも、労働時間の抑制につながらずに、むしろ、サービス残業を生み出してしまうケースが続発している。

その仕組みは簡単だ。いずれの残業抑制策がとられたとしても、「業務量」が減るわけではないからだ。

業務量が減らない限り、強制退社を命令しても終わらない分は「持ち帰り残業」になってしまうだけだ。また、残業に上限が設定されていても、業務量が減らなければ、やはりサービス残業をするしかない。

さらに、残業申請型の場合には、こなすことのできない分の業務を「自分の責任だ」と思わせる仕掛けになっており、自ら申請を抑制してしまう場合が見られる。

そこまでしないと利益が生み出せない会社など存在自体、意義があるのか。


posted by 得笠野 哲太 at 17:21| パワハラ事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする